オーダーの楽しみは生地選びからスタート!

クラシックスタイルの魅力は変わらないことへの価値を尊重し、古き良きモノ作りに忠実であること。
この不変のスタイルに理解がありながら、一方でそれだけに収まらない個性と魅力を持ったお客様からのオーダーは一筋縄に行かずとも、その楽しみを再認識させてくれる素晴らしい機会となりました。

はじめはぼんやりとしていた理想の生地探し
事前にLINEで下打ち合わせ、その後来店、更に生地メーカーへ直接同伴していただくなどして多くの生地をご覧いただきました。
趣向的なファブリックデザインに目が奪われながらも実際、膝丈コートの形になった時は身体の大半を包み込む大きな面積になることも想定しなければなりません。見た目の着やすさも大事、オーダーらしい唯一無二で特別な生地との出会いにもやはり心が揺れます。様々な生地を見て、触れて、お話を繰り返していくうちに、これで仕立ててみたいと思う生地との出会いに心が決まります。



今回お選びいただいた生地がこちら。
秀逸なファブリックデザイン。引きで見た時のベージュxブラウンのベースカラーの着やすさ、反対に間近で見るとカゴ編みのような柄に、全体に散りばめられたカラーネップがアクセントになったイギリスDASHING TWEED社の生地コレクションより

“ ダッシングツイード ” はファッション・フォトグラファーであるガイ・ヒルズ氏と、ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ出身のカースティ・マクドゴル氏の織り上げるツイードとの出会いによって創設された新進気鋭の生地ブランド。従来の概念を打ち壊し、感度の高い人々に向けてデザインされるツイードの数々は今なお世界で注目を集めています。https://www.dashingtweeds.co.uk
素材が決まればあとはどう仕立てるか?
ウエイトが720gmsという比較的重く重厚感あるこの生地を、適度に軽快感ある仕立てになるよう前面はシングルのチェスターフィールドコートをベースにし、背面はポロ競技の選手や観戦者に着られたポロコートに代表されるようなスポーツコートのディティールを随所に取り入れた一着となりました。






素材が決まればあとはどう仕立るか?
ポロコートなどのトラディショナルデザインのルーツを踏襲しつつも、素材に合わせたデザイン、オーダー時にお客様との話の中から生まれた見た目の好みや使い勝手などもデザインのヒントになります。その結果が形となり『ああ、こうなったか』とふと思い返しながらお渡し前の写真を撮らせていただいていました。
お渡しは5月に入ってからでしたのでしばしクローゼットで待機となることでしょう。
寒い冬が来た時にはお気に入りのコートとしてご愛用いただけることを何より願って楽しみにしたいと思います。